君と出逢う日に あとがき、という名の、いいわけ日記出張版 の代わりの、 出演者座談会 |
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ヒカル | 終わったあ〜! | |
佐為 | 終わりましたね〜。 | |
ヒカル | ったく、長かったよなー。これホントに終わるのかって、マジ心配してたんだよ。 だってさあ、いつからやってた?これ。 |
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佐為 | 2002年9月23日、とありますね。 | |
ヒカル | うっわ、ちょうど1年半じゃん。オレ達ホント、よくがんばったよなー。 | |
佐為 | がんばりましたね〜♪ でも、楽しかったですよね。 |
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ヒカル | そうだな。佐為といっぱい打てたし。 ‥‥って、あれ、どうしたんだ?二人とも。 |
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和谷 | どうしたって‥‥(溜め息)。おまえらはいいよな、おまえらは。 | |
ヒカル | ? | |
アキラ | (地を這うような声で)‥‥『がんばった』だって? | |
ヒカル | なっ‥‥なんだよ、塔矢? | |
アキラ | 『楽しかった』って?‥‥‥ふ | |
一同 | 『ふ』? | |
アキラ | ふざけるなっ! | |
(一同、退く) | ||
ヒカル | と‥‥塔矢?おい──── | |
アキラ | 『がんばった』だって?!キミ達はのほほんと楽しくおかしく過ごしていただけだろう!でもボクは、その間ずっと、キミを心配してなきゃならなかったんだからな! | |
ヒカル | おまえ、大泣きしたもんなあ。 | |
アキラ | 進藤っっ! | |
佐為・和谷 | ‥‥(また言わなくてもいいことを‥‥と思っている) | |
和谷 | おい、落ち着けよ、塔矢。 泣こうがヘコもうが、出番があっただけまだいいじゃねェか。 オレなんかなあ、名前だけなんだぜ。ほとんど出番なし。 しかも、おいしいトコ、おまえの親父が全部持ってったしな。あー、オレって何だったんだろう。 |
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アキラ | そういえば。 | |
ヒカル | なに、塔矢? | |
アキラ | この話が始まる頃、月城さんは社君の存在を知らなかったんだそうだよ。 | |
ヒカル | 社? | |
和谷 | ああ‥‥北斗杯予選が、まだコミックスに載ってなかったからな。 でも、なんだよ、いきなり。 |
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アキラ | いや‥‥ほら、事故の現場が京都だったろう?だから、途中で替えようとしたらしいんだよね。 | |
ヒカル | 何を? | |
アキラ | 和谷君と、社君を。 | |
ヒカル | え、そうなの? | |
和谷 | 嘘だろ?! | |
アキラ | 嘘じゃない。書き換えようかと、かなり本気で迷ったらしいよ。 | |
ヒカル | でも、和谷のままじゃん。 | |
アキラ | 最後の場面で、沈んだ進藤にハッパかける役を和谷君にやらせるつもりだったんだよ。そうすると、社君より和谷君のほうが適任だろう?キミに対しては和谷君のほうがより親身だからね。もっともそれも、ボクの父がやってしまったが。 | |
ヒカル | うわ、ひでぇ。和谷、意味ねぇじゃん。 | |
佐為 | ちょ、ちょっとヒカルってば、言い過ぎですよ。 | |
和谷 | お‥‥オレって‥‥‥‥‥‥(沈没) | |
ヒカル | あ‥‥‥(ようやく気づく)。 | |
佐為 | もう‥‥ヒカルってば‥‥。 | |
ヒカル | でで、でもさっ、話ふったのは塔矢だぜ?! | |
アキラ | ボクは事実を述べたまでだ。 | |
ヒカル | ‥‥‥‥‥‥おまえって、そういうヤツだったよな。 | |
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佐為 | そ、それにしても、これほど長く続けてこれたのは、ひとえに読者様の熱い後押しがあってこそですよねっ。 知ってましたか?この話、最初は、序章の『晩秋』と『冬』『春』『夏』『秋』が各1編の、計5話で終わるはずだったんですよ。 |
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ヒカル | へぇ、そうなんだ。 | |
和谷 | それはオレ、知ってるぞ。 | |
アキラ | ボクも知ってる。 | |
ヒカル | えっ、知らなかったの、オレだけ?! | |
アキラ | やっぱりのほほんと楽しんでいただけなんじゃないか。まったく、気楽だな、キミは。 | |
ヒカル | うう、うるさいな!そりゃ‥‥少しは楽しんだかもしんないけどさ。でもなあ、けっこう大変だったんだからな。佐為ってばわがままだしコドモだし、オレがどれだけ気を遣ったか‥‥。 |
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佐為 | あああっ、よく言いますよ!ヒカルだってねぇ──── | |
和谷 | はいはい、痴話ゲンカはあとでやってくれ。ま、おまえらのそういうトコが受けたんだろうけどな。夫婦漫才みたいだもんな。 |
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佐為 | 夫婦って‥‥(照れる) | |
ヒカル | メオト‥‥‥?(よく分かっていない) | |
アキラ | どっちが『ボケ』で『ツッコミ』だろう? | |
和谷 | (塔矢が『ボケ』と『ツッコミ』って‥‥・汗) オマエさ‥‥意味分かって言ってる? |
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アキラ | 当たり前だろう。 | |
和谷 | ‥‥‥‥(おそるべし塔矢アキラ、と思っている)。 | |
ヒカル | なんだよ、オレと佐為のどっちが『ボケ』で『ツッコミ』かって、佐為が『ボケ』に決まってんじゃん。 | |
和谷 | オマエのそういうところが『ボケ』なんだろ。 | |
佐為 | 私は、惚けてませんよ? | |
ヒカル | ほらあ、コイツのほうが『ボケ』じゃん。 | |
和谷 | ‥‥おまえら、ホント、よく似てるよな。 | |
アキラ | それについては同感だね。 | |
ヒカル | なんだよ二人ともー(ちょっと不機嫌)。 | |
和谷 | 『ボケ』っていうより、『天然』コンビなんだな。いいじゃん、そのせいで出番大幅アップだったんだから。 | |
佐為 | それもこれも、すべて読者様のおかげですね。みなさんが根性なしの月城をおだててのせてくださったからこそ、私とヒカルが心おきなく対局できたのですから。 | |
ヒカル | 微妙に塔矢、嫌われてたよな。 | |
アキラ | キミがあんまり佐為さんと楽しげだったからだろう。 | |
ヒカル | だって、楽しかったもん。 | |
アキラ | その間、ボクがどうしてたかなんて、考えもしなかったんだろう、キミは。 | |
ヒカル | うん‥‥て、だってオレ、生きてるなんて知らなかったし。 | |
アキラ | ふ──── | |
和谷 | ま、まあまあっ!だから、出番があっただけよしとしろよ! | |
アキラ | そうか。そうだね。 | |
和谷 | ‥‥オレを見て納得されるのも、それはそれでハラたつぞ。 | |
ヒカル | そういえばさ、オレが佐為といたウラで塔矢がどうしてたかって話、番外に予定入ってなかったっけ? | |
和谷 | あったよ。 | |
ヒカル | あれ、どこいっちゃったんだ?ないじゃん。 | |
和谷 | 月城が逃げやがったんだよ。暗い話は書いてて自分も暗くなるから、しばらくヤなんだと。なにせ、あの時の塔矢といったら、果てしなくドロ沼だったからな。このオレでさえ、塔矢のフォローしなきゃなんなかったくらいだったんだぜ。ったく、なんでオレが、塔矢門下に塩送んなきゃならねぇんだっての。 | |
ヒカル | 塔矢。出番増えるのと、一話まるまるどつぼにはまってるの、どっちがいい? | |
アキラ | ‥‥ボクはともかく、誰も見たくないと思うよ。そんな暗い話。 | |
和谷 | オレも、増えた出番が塔矢門下のフォローじゃあ、あんまりうれしくないな。 | |
アキラ | その節は、どうも‥‥でも、和谷君は『いいひと』なんだって、見直した。 | |
和谷 | ‥‥『いいひと』ってのはなぁ、ほめ言葉にしても、あんまりうれしくないんだよ。 | |
アキラ | ? | |
和谷 | いいんだよ、もう。忘れろ。 それより、ほら、話を戻そーぜ。 |
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ヒカル | なんの話だったっけ? | |
佐為 | 読者様のおかげで、予定よりお話が増えましたね、って話ですよ、ヒカル。 | |
ヒカル | ああ、そうだったそうだった。 確かにエピソード、いろいろあったよな。『春』だけで、ええと‥‥本編は2編に、番外4つか。 |
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佐為 | そのうちのいくつかは、読者様からのリクエストだったり、いただいたネタだったりするんですよね。 | |
和谷 | 基本的に単純なんだよな。思いつくまま気の向くままなんだから。 | |
ヒカル | 話が長くなった原因の一つだな。 | |
和谷 | 『原因』って言うか?出番増えて、おいしい思いしたオマエが? | |
ヒカル | じゃあ、なんて言うんだよ。 | |
和谷 | 『理由』とか、『要因』とか。 | |
佐為 | ヒカルにそんな難しい言葉は使いこなせませんよ。ねえ、ヒカル? | |
ヒカル | ‥‥オマエのその笑顔が、妙に腹たつぞ。 | |
アキラ | 『夏』は本編3つに、番外1つか。 | |
和谷 | 意外に少ないよな。 | |
佐為 | あ、それはっ‥‥‥(慌てる)。 | |
アキラ | え、あの‥‥‥(小声で)あ、ひょっとして内緒でしたか? | |
佐為 | 内緒というか‥‥(書き手が)さりげなく触れないようにしていたというか‥‥。 | |
アキラ | ああ、なるほど‥‥‥(咳払い)。 そ、そうそう、その分『秋』は多いですよね。 |
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佐為 | そうですね。なにしろ物語の核心部分ですからね。 | |
ヒカル | 『秋』って言ったら、アイツが出てきたところか。 | |
佐為 | 菅原顕忠ですね。 | |
ヒカル | そうそう!読者にもめちゃくちゃ嫌われてたよな。 | |
佐為 | 仕方ありませんよ。もともと私にぬれぎぬを着せて、入水に追いやった人物として登場していた人ですからね。 | |
ヒカル | ヤなヤローだったよなー。 | |
和谷 | でもさあ、オレ、分からなくはないかな。 | |
アキラ | ああ。一番人間らしい人物だったかもしれないね。 | |
ヒカル | 人間らしい? | |
アキラ | うん。なんていうのかな、欲に囚われたばっかりに、権力にいいように利用されて流されてしまうのがさ。本人はただ、今よりちょっとだけ幸せになりたかっただけだったのかもしれない。そのために、ちょっとだけ、と思って足を踏み入れた深みにずぶずぶはまってしまうんだけど。そう考えると、彼もいっそ哀れな気がするよ | |
ヒカル | でもさあ、だからってズルはよくないだろ。そういうの、オマエが一番怒るくせに。 | |
アキラ | もちろん。だから、いいなんて言ってないだろ。 | |
ヒカル | ‥‥とーやさん、目が怖いよー? | |
和谷 | それにしても、『秋』は長かったよな。 | |
アキラ | それについては彼女も焦ったみたいだよ。バランスが悪いのは、書き込み方のせいだろうか、とかね。 | |
和谷 | なんとか削ろうって、かなり足掻いたみたいだぜ。 | |
ヒカル | 削って、あれ? | |
和谷 | そう。削って、あれ。 『七夕』から、全部で9編だろ?番外入れて11? 進藤、がんばったなぁ。 |
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ヒカル | 分かってくれてうれしいよ、和谷‥‥(泣笑)。 だってさぁ、佐為が悪いんだよ。 |
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佐為 | 私のせいですか? | |
ヒカル | だっておまえ、なっかなか、危機感ての?気がつかねぇんだもん。オレがあんっっなに気ぃつかってやってたのにさ。もう、すっげぇ鈍感。 | |
佐為 | う‥‥‥だって‥‥‥。 | |
ヒカル | 月城も嘆いてたんだぜ。ケンカさせてもすぐ仲直りしちまうって。 | |
和谷 | あの喧嘩は、予定通りだったんだろう? | |
ヒカル | そう。初めっから、あのシーンは入れるつもりでいたんだ。で、本当なら、佐為がオレを誤解したまま御前対局に突入して、オレが消えて、で、佐為がどつぼにはまって川に‥‥ってはずだったのに、こいつがさ。 | |
佐為 | だって、ヒカルと喧嘩なんて、したくなかったんですもの〜(泣)。 | |
ヒカル | まったく、根性なしは月城と一緒じゃん。 | |
アキラ | でも、そのほうがかえって受けがよかったじゃないか。結果的には、佐為さんのおかげだろう。 | |
和谷 | おまえらのいちゃいちゃぶりも入ったし?ちゃんと読者サービスしてんじゃん。進藤、佐為さんに────。 | |
ヒカル | うわああぁっ、言うなっ!言うんじゃねぇっ!すっっげぇはづかしいんだよ、あれわっ! | |
佐為 | ヒカル、なにを慌てているのですか。おや、顔が真っ赤。 | |
ヒカル | うううるさい!いーんだよ、忘れろよ! | |
アキラ | キミが一番うるさいよ、進藤。 | |
ヒカル | ‥‥‥‥‥っ。(黙り込む) | |
和谷 | ほかに、予定にあったシーンってどんなのがあったっけ? | |
アキラ | いくつかあったんだよね。『宇治』で宇治川を見て「泳いで渡れない」って佐為さんが言うところとか、『七夕』で進藤が佐為さんの名前の表記を知るところとかは、当初から構想に含まれていたようだよ。 | |
和谷 | その1シーンを書きたいがために、何で前後があんなに長くなるのかは謎だけどな。 | |
アキラ | 2人の別れと、佐為さんの入水も、予定通りだったんだよね。 | |
和谷 | 途中、「ずっと一緒にいさせて」って読者コールが多くて、月城もかなり迷ったらしいんだけどな。 | |
アキラ | 主体性がない人だからね。あの人は。 | |
和谷 | そう。でも、他に結末を思いつかなかったんだと。そのくせ、読者の反撃にビクビクしてるんだから、世話ねーよ。 | |
アキラ | 開き直ってるよね。 | |
ヒカル | ‥‥なんでおまえら、そんなに詳しーの? | |
和谷 | だって、ヒマだったし。 | |
アキラ | そう。傍観者としての余裕は、たっぷりあったからね。 | |
ヒカル | ‥‥出番が少なかったの、まだ根に持ってるだろう。 | |
佐為 | でもでも、本当にありがたいことですね。逆に、皆さんのご期待に応えられなくて、申し訳ない気もします。 | |
ヒカル | しょーがねーじゃん。書き手がヘタレなんだから。 | |
佐為 | ヒカル、それは実もフタもない‥‥。 | |
和谷 | そういえば進藤、平安時代ではユーレイだったんだよな。 | |
ヒカル | ああ。 | |
和谷 | どんな感じだった? | |
ヒカル | どんなって‥‥なあ? オレは普通かなと思うけど。でもやっぱり、ニオイが分かんないし、物に触れないし、触れないから食えないし、それはヘンな感じだったな。誰にも見えないってのも、つまんなかったぜ。まあ佐為とはフツーにつきあえたし対局もできたから、そう退屈でもなかったけど。 |
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佐為 | 現代に甦った私と同じですね。 | |
ヒカル | 不便といえば、不便だぜ。碁石持てないし、佐為をぶん殴ろうと思っても空振りするし。 | |
佐為 | ちょっとヒカル、私、そんなにひどいことしましたっけ? | |
ヒカル | っていうか、あんまりとぼけてて、妙にひっぱたいてやりたい気分の時はあった。 | |
佐為 | ひどいです、ヒカル〜! | |
アキラ | 進藤‥‥。 まあでも、これも彼女のこだわりではあったようだよ。 |
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和谷 | 触れたら、あーんなこともこーんなこともできたのにな、進藤。 | |
ヒカル | あ、「あんなこと」って何だよ(動揺)。 | |
和谷 | おやあ、進藤君は、なぁにを想像してるのかな〜? オレは、平安時代の美味いもんを食えなくて残念だったな〜って言ったんだけど〜? |
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ヒカル | ‥‥おっ、オレだってそう思ったよ! | |
佐為 | でも確かに、残念でしたね。私、一度でいいからヒカルを「ギュッ」ってしてみたかったのに。 | |
ヒカル | 佐‥‥‥おまえな‥‥‥(赤面)。 | |
アキラ | うん、だからね、それはしたくなかったんだって。 進藤が平安時代の人間に干渉したり、佐為さんと触れ合ったりするのも、それはそれでおもしろかったんだろうけれど、安易だろうって。 |
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ヒカル | ヘンなこだわりだなぁ。 | |
佐為 | でも確かに、ヒカルが何でもできたらズルイですよ。私はヒカルとしか話せなかったし碁石に触れもしなかったんですから。 | |
ヒカル | ズルイって‥‥おまえね。 | |
アキラ | そうそう、『睡蓮が見た夢』のほうも、触れておかないと。 | |
和谷 | ああ、月城の独断と偏見でっちあげ設定のことな。 | |
ヒカル | あれもさー、長いよなー。しかもまるまる全部、佐為の話だろう?佐為、おまえゼータクだぞ。 | |
佐為 | ふええ、すみません私ばかり‥‥。 | |
和谷 | でもなんで、あれ書く羽目になったんだっけ? | |
アキラ | これも読者コールだよ。もともと漠然と月城の頭の中には入ってたらしいんだけど──── | |
ヒカル | あ、思い出した。そうそう、軽い気持ちで書き始めたら、収拾つかなくなったんだよ。 | |
和谷 | まあでも、ずいぶん勉強はしてたよな。図書館で、かなり本借りてたって話だぜ。 | |
ヒカル | 年表と登場人物の年令表なんてのも作ってたよな。 | |
アキラ | 時代は、999年〜1000年あたりを設定してたんだよね。 | |
ヒカル | 佐為が、帝の隠し子で、しかもキンシンソウカンってやつな。 | |
アキラ | ‥‥進藤、もう少しほかに言い様はないのか。 | |
佐為 | ‥‥‥‥‥‥(落ち込む)。 | |
ヒカル | なんだよ佐為、もおお、暗くなんなよ。いいじゃん、どうせ月城が勝手にでっち上げたウソなんだからさ。 | |
アキラ | 彼女の言い分としては、「藤原佐為が狩衣で殿上している」のと、「髪が垂髪」だってことの理由をつけたかったそうだね。 | |
佐為 | そうですね。基本的に、狩衣で殿上はできませんからね。よっぽど高位の方でも直衣までですしね。 | |
アキラ | そう。だから、「公には殿上を許されていない」けれど、「殿上しても黙認される」「記録に残らない」身分、と考えて、ああいう形に行き着いたらしいよ。 | |
ヒカル | じゃあさ、髪のばしてる理由は? | |
アキラ | 進藤、キミは気づいていた?作中であれだけ藤原佐為の生涯を追っていたのに、〈元服〉のシーンがないんだよ。 | |
ヒカル | ああ‥‥‥言われてみれば。 | |
和谷 | え、あれって分かってやってたのか? | |
アキラ | 意図的に、だよ。だから、宮中でも女性と同席したりしてただろう? | |
和谷 | でも、烏帽子はかぶってるよな。あれって子供はかぶらないだろう? | |
アキラ | それは原作に合わせたんだろう。それに、〈元服〉でかぶるのは冠だ。烏帽子じゃない。 | |
佐為 | ほう、私って、まだ未成年だったんですね〜。 | |
ヒカル | 中身は立派なコドモじゃん。 | |
佐為 | ヒカルにだけは言われたくありませんよっ | |
ヒカル | 塔矢、詳しいなぁ。さすが、名門海王中出身。 | |
アキラ | ありがとう。 | |
和谷 | でもさ、原作だと、菅原顕忠も狩衣だよな。ていうか。狩衣のヤツ、けっこう多くなかったか? | |
アキラ | それを言うなら、平安時代で身長が178cmもあるというのも、かなり巨大だよね。言葉だって、京言葉でも公家言葉でもなかったし。美人の基準だって違うしね | |
ヒカル | 佐為なんか怪獣だろうな。ゴジラだ、ゴジラ。 | |
佐為 | うわぁんっ、ヒカルの意地悪〜!(泣) | |
和谷 | 進藤‥‥。 まあでも結局、原作の時代考証自体が怪しいんだよな。 |
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アキラ | そう。丁寧に書かれている『ヒカルの碁』にしては、意外だよね。 | |
和谷 | 月城は、京都出身って言ってなかったか? | |
アキラ | 出身って言ったって、10代前半の5年きりだからね。方言しゃべってたらしいけど、かなりめちゃくちゃだったらしいよ。 | |
ヒカル | ニセ方言だ。 | |
和谷 | 突っ込まれるのが嫌で、逃げたな。 | |
アキラ | 本人は「原作に合わせたのよ」なんて、開き直ってるけどね。 | |
和谷 | うわ、ずうずうしいヤツ。 | |
佐為 | みなさん〜、そんなに追いつめないであげましょうよ。あれでけっこう、小心者なんですよ。 | |
和谷 | いいのいいの。佐為さん、気にしない。 | |
ヒカル | そうそう。最後なんだから。 | |
佐為 | ‥‥‥‥(^^;)。 | |
和谷 | あと、話し忘れてる事ってあったか? | |
佐為 | 原作には出てこない、ここだけの方もいらっしゃいましたよね。 | |
ヒカル | ああ、星見ちゃん。 | |
和谷 | 唯一のオリキャラ。しかもオレ達より活躍してたよな。 | |
ヒカル | 子供の頃の塔矢に似てたぜ。けっこう美人。塔矢もなー、あの頃はホンット、女の子みたいにかわいかったのになー。 | |
アキラ | ‥‥女の子みたいって言われてもね。 | |
ヒカル | でもさ、最初は「あかり似」だったんだよな。 | |
佐為 | ああっ、ヒカルってばまた言わなくていいことを‥‥っ。 | |
ヒカル | なんで? | |
佐為 | 黙っていればみんな忘れているでしょうに‥‥って、あれ?ヒカル? | |
ヒカル | ほぉ〜お。都合の悪いことは黙ってるんだ。 | |
アキラ | キミにだけは言われたくないと思うよ、進藤。 | |
和谷 | (黙って頷く) | |
佐為 | だって‥‥いえ、あかりちゃんがどうのというのではなくてですね、話の展開から、冷静沈着で自立した女の子が欲しかったらしいんですよ。 | |
ヒカル | 女の子版塔矢みたいな、な。 | |
佐為 | そうです、そうです。 | |
ヒカル | それ、最初から決めとけって感じだよな。途中から替えるのって、すっげぇ反則だろう。 | |
佐為 | まったくですね。 | |
ヒカル | だいたいさあ、「星見」って名前も、陰陽師→占い→星を見る→星見、って感じに決まったって話じゃん? | |
和谷 | なんか、安易だな。占いから〈星〉ってのが、特に。 | |
アキラ | 陰陽師だけど、月城さんは『三国志』の諸葛孔明のイメージがあったらしいしね。 | |
ヒカル | 『三国志』好きなの? | |
アキラ | 一時期凝ってたらしいよ。吉川英治版を読んではまったらしい。 | |
和谷 | 五丈原で星を読む、ってか? | |
ヒカル | 和谷、知ってるのか?うわ、意外〜。 | |
和谷 | 意外はよけいだろ!友達が『三国志』のゲームやってたんだよ。それで聞いたの。 | |
ヒカル | ふ〜ん。 | |
佐為 | 星見の君にも、本当にお世話になりました。 | |
和谷 | かわいかったんだろ?なんだ、今日来ればよかったのになあ。 | |
ヒカル | 塔矢。カツラかぶって十二単着てこいよ。 | |
アキラ | なんでボクが! | |
和谷 | そうだ!オレが会いたいのは、こんな囲碁漬けヤローじゃなくて、かわいい女のコだ! | |
ヒカル | やだなあ、二人とも。軽いおちゃめなジョークじゃん。 | |
佐為 | ヒカルのそれは、調子にのりすぎなんですよ。気をつけなさい。 | |
ヒカル | へーい。 | |
ヒカル | で、結局のところ『君と出逢う日に』の『君』って、誰のことだったんだ? | |
和谷 | 誰? | |
アキラ | っていうより、ボクら一人一人で違うんじゃないかな? | |
佐為 | そうですね。私にとっては、『君』はヒカルであり、星見の君であり、『睡蓮〜』も含めれば、斎王様や大殿も当てはまりますし──── | |
ヒカル | オレだったら、やっぱり佐為だけど、でも「もう一度塔矢に逢えたら」っていうのもあったかな。 | |
アキラ | ボクも、「進藤にもう一度逢えたら」と思っていたよ。 | |
和谷 | 結局、誰でもいいんだな。 | |
佐為 | 誰でも、というより、すべての人を指しているんですね。 | |
ヒカル | そうなんだ。 | |
佐為 | 逢いたい人と出逢う時、どうしたいと思いますか? | |
ヒカル | オレは‥‥うん、やっぱり、笑顔で逢いたいな。 | |
佐為 | 私もです。そして、笑顔で逢うために、それまで前向きに頑張ろう────そんなことを、月城は書きたかったようですよ。 | |
ヒカル | ふ〜ん‥‥。 | |
和谷 | でもさ、月城のヤツ、最近になってポルノグラフィティの『愛が呼ぶほうへ』って歌の歌詞見たらしいんだけど、その中の「ぼくを知っているだろうか/いつもそばにいるのだけど/My name is LOVE/ほら何度でも/僕たちは出逢っているでしょう?」ってのに「やられた」ってショック受けたらしいぜ。で、ウチの『君と〜』の『君』も、愛だの希望だのって、目に見えない物にしようとひそかに企ててたらしい。 | |
アキラ | 1年も続けてきて、今更だろう。 | |
和谷 | そう、今更。だから結局、玉砕したんだけどさ。 | |
ヒカル | ホント、安易だよなー。 単純っつーか、信念がないっつーか。 |
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和谷 | それを進藤、おまえが言うのか‥‥(呆)。 | |
ヒカル | とりあえず終わったけど、この後はどうするのかな。 | |
佐為 | 終わったと言っても、本編が、ですからね。ひょっとしたら番外が増えるかもしれないし、増えないかもしれない。 | |
ヒカル | ホント、いいかげんだな。 | |
アキラ | すべて行き当たりばったり、無計画な人だからね。 | |
ヒカル | やっぱり、読者コールによるのかな。 | |
アキラ | というより、それが原動力なんじゃないのかな。反応があれば素直に嬉しいし、また書きたくなる。そこからネタが浮かぶことだってある。それは、月城さんに限らず、みんなそうなんじゃないかな。 | |
佐為 | こうした場でのお話創作というものは、自己満足かもしれませんけれど、それもやはり読者あってのことですからね。 | |
和谷 | 結局、作品を媒体にして、コミュニケーション図ってるんだよな。 | |
アキラ | そう。だから、この話がどうなるのかはともかく、サイト自体は変わらないと思うよ。結局のところ、先の事なんて、なんにも考えてないってだけだから。 | |
和谷 | 『君と出逢う日に』を本としてまとめては、って声もあったよな。 | |
ヒカル | ‥‥って、これ、全部?! | |
和谷 | そう。全部。どこまでが『全部』か分かんねぇけど。 | |
ヒカル | 本編、番外‥‥作者設定も入るのかな? | |
和谷 | っていうか進藤。話が出たってだけだから。 | |
ヒカル | あ、なんだ。決まってないのか。 | |
佐為 | おもしろそう、とは思ってるみたいですよ。 | |
ヒカル | あー、アイツ、こういう目新しいもの作るの好きだもんなー。 | |
アキラ | でもそれ以前に、需要があるのか、疑わしいところだよね。10冊、20冊って世界だろう?自分の家に同じ物を何十冊と並べておくのも、どうかと思うしね。 | |
和谷 | それこそ究極の自己満足だな。 | |
ヒカル | コピー本とか。で、1冊だけ作るの。アイツ、ハードカバーっぽく製本するの、得意じゃん。 | |
和谷 | ばぁか。何ページになると思ってんだよ。 | |
ヒカル | ‥‥何ページだろう。 | |
アキラ | やるとなると、いろいろ問題もあるよね。表紙とかデザインとかレイアウトとか。 | |
和谷 | 中身だって、そのまんまってわけにもいかないよな。 | |
ヒカル | なんで? | |
和谷 | 当たり前だろ。横書きが縦書きになるんだぜ?それだけでもけっこう印象変わるぜ。 | |
アキラ | そうだね。サイトだと壁紙で雰囲気のフォローができるし、行間に頼ったところもあったしね。 | |
ヒカル | ああ、『落葉』。あれは行間の取り方すごかったな。 | |
和谷 | あれ、全部校正しなおすったら‥‥。 | |
ヒカル | ‥‥‥‥‥‥想像したくない。 | |
アキラ | 人様に提供するんであれば、番外の1つも書き下ろすべきなんだろうし。 | |
ヒカル | ネタ、あるの? | |
アキラ | ない。だから結局、読者の反応次第。 | |
和谷 | ま、なんにせよ、「欲しいな」って声をもらっただけでも、ありがたいことだよな。 | |
佐為 | そうですね。それだけこの作品を楽しんでいただけたということですからね。 | |
ヒカル | すべて風の吹くまま気の向くまま、だな。 | |
和谷 | お、そろそろ時間だ。 | |
佐為 | ヒカル。みなさんにご挨拶を。 | |
ヒカル | そうだな。 え〜と‥‥とにかく、最後まで読んでくれてありがとうございました。 月並みだけど、こんな感じかな? |
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アキラ | こんなに長いのに、貴重な時間を割いてまでつきあってくれたんだから、本当に感謝してもしたりないくらいだね。 | |
和谷 | 本編、番外、作者設定、全っっ部制覇したツワモノって、どのくらいいるんだろうな。 | |
ヒカル | 制覇したって人、ぜひ申告してほしいね。 オレ達から拍手を送ろう。 |
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和谷 | どうやって? | |
ヒカル | こうやって(パチパチパチ)。 | |
和谷 | ‥‥それだけ? | |
ヒカル | それだけだよ。 | |
和谷 | 阿呆(ゲンコツ1発)。読者が誤解するだろーが! | |
ヒカル | ってーなあ、もう! だって、作者がそういう気分だって言うから! |
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佐為 | でも本当に、感想は一言でももらえるとうれしいですね。 月城は泣いて喜びますので。 |
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ヒカル | 泣くかな? | |
佐為 | 少なくとも、画面の前で諸手を振って踊り狂いはするでしょうね。 | |
ヒカル | うわー、アヤしすぎる。 | |
佐為 | ヒカル‥‥。 それでは皆様。 最後までおつきあいくださいまして、本当にありがとうございました。 『君と出逢う日に』は終わりましたが、これからもCottonDropsへ変わらぬご贔屓をいただければ、感謝の念にたえません。 これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
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和谷 | 読んでくれて、ありがとうな! | |
アキラ | ありがとうございました。 | |
ヒカル | みんな、ありがとう! | |
2004.3.20 |