君と出逢う日に

晩秋　（序）

ずいぶんと長い間、眠っていたかもしれない。 ひょっとしたら、瞬きをする一瞬の後だったかもしれない。 たゆたうような、浮遊感。 それは、行く手を示す〈光〉だった。 「目覚めましたか」 心の中に、コトン、と落ちた――――声。 意識を手にしたのが先か。 声を聞いたのが先か。 ゆっくりと頭を巡らせ────そして、 「‥‥‥‥佐為！」 ほとばしる叫びとともに、ヒカルは覚醒した。

2002.9.24