桜(さくら)
劉輝：	余は心がきれいなのだ。
静蘭：	は？
秀麗：	な、なんなの、突然？
劉輝：	突然ではないぞ。秀麗は前から知っていただろう？ほら、これをくれたではないか。
秀麗：	あ、それ……！
静蘭：	桜の花びらの刺繍ですね。これを、お嬢様が？
秀麗：	そ、そんなこともあったわね……。
劉輝：	桜の花言葉は『精神美』だからな。
秀麗：	ええっ、ちょっと待って、別にそんな立派な意味なんて──
劉輝：	余の心の清らかさは、秀麗の『お墨付き』なのだ。
秀麗：	まあ…ある意味「清らか」かもしれないわね…。
劉輝：	そうだろう。
秀麗：	誉めてないわよ。
静蘭：	では主上、なべ磨きをしたくなりませんか？
秀麗＆劉輝：	なべみがき？
静蘭：	心がきれいな主上なら、おいしくいただいた食事の後の台所の洗い物や鍋が気になるのではないかと思いまして。
劉輝：	う…うむ…？
静蘭：	清掃・整理整頓は心を磨くことと言いますし。
劉輝：	そ、そうなのか？
静蘭：	それに、主上が頑張れば、お嬢様が主上に感謝なさいます。お嬢様の笑顔は、その桜に匹敵するくらい価値があるのではありませんか？
劉輝：	その通りだ、静蘭！秀麗！余がこの家の鍋を全部磨いてやろう！まかせておけ！
秀麗：	え、ちょっと劉輝!?……ああ、行っちゃった。
静蘭：	本当に素直ですねえ…まっすぐというか、馬鹿正直というか。
秀麗：	もう、静蘭ったら。
静蘭：	たまにはいいでしょう。さて、私も一緒に片づけてきます。主上お一人では心許ない。
秀麗：	じゃあ私は、部屋の後片づけをするわね。終わったらお茶にしましょう。桜の花びらを浮かべるわ。劉輝のくれた桜がちょうど咲いているから。
静蘭：	(独り言のように)なるほど…お嬢様もまた、劉輝の『お墨付き」』というわけか…。
秀麗：	え、何か言った、静蘭？
静蘭：	あ、いえ……きっと喜ばれるだろうと思ったんですよ。
場面は、紅邸にて。 劉輝がご飯を食べにやってきました。 …なんてシチュエーションは、王様の決意表明した劉輝では、もう見られないんだろうなあ(>_<) ネタ的に古いかな、と迷っているうちに、応募時期を逸してしまいました。 あーあ(T^T) 2008.2.23脱稿