水仙(すいせん)

静蘭: ただいま帰りました。
秀麗: あ、静蘭、おかえりなさい。
静蘭: …どうしたんですか、この大量の白い花。スイセンばかりのようですが。
秀麗: “匿名希望”さんが送ってきたのよ。
静蘭: 彼岸花の次は水仙ですか。
秀麗: ヒガンバナは匂わないけれど、水仙は香りが強いのよね。おかげでこの寒空に窓を開けなきゃならないのよ。ああ、寒い。
静蘭: お邸の外まで花の香りがただよっていましたよ。
秀麗: それできっとまたご近所の噂になるんだわ。静蘭、なんとかならない?
静蘭: お嬢様がいただいた物でしょう?
秀麗: これ全部、静蘭宛よ。
静蘭: 私に、ですか?
劉輝: 秀麗〜、秀麗にも花を持ってきたぞ〜。
秀麗: 劉輝?…げ、また水仙!?
l劉輝: な、なんだ、秀麗はスイセンが嫌いだったのか?
秀麗: じゃなくて!なんだってこんなに大量に送りつけてくるのよ!スイセンはお腹の足しにもならないのよ!
静蘭: 問題はそこですか、お嬢様。
劉輝: わ、分かった…じゃあ今度は食べられるものを……。
秀麗: 程度を知りなさいって言ってるのよ、このトンチンカン男!
静蘭: ところで主上、そのスイセンは黄色いようですが。
劉輝: ああ、楸瑛が「秀麗に贈るなら、黄色いスイセンのほうがいい」と言うのでな。
静蘭: 花言葉は「もう一度愛してください」でしたか。
秀麗: あんたねえ…。
静蘭: では、私宛に白いスイセンばかりを送ってきたのは、何か意味でも?
劉輝: 王宮のスイセンは白ばかりなのだ。きれいでいい匂いだったから兄……静蘭に見せたいと思って。
秀麗: それだけ?
劉輝: それに白いスイセンは静蘭にぴったりだと、楸瑛が言うから……。
静蘭: ほぅう……。
劉輝: せ、静蘭?
秀麗: 白いスイセンの花言葉って……なんだったかしら。
静蘭: うぬぼれ、自己愛、自尊心、気高さ…ですよね、主上?
劉輝: ぇえっ!?…や、余、余はその……そう、気高さというのが、静蘭にぴったりだなー、と……。
静蘭: そうですか。藍将軍が……。
秀麗: 「うぬぼれ」「自己愛」は、あんまりいい意味じゃないわね。でも「気高さ」はぴったりだと思うわ。
劉輝: そそそ、そうだろうそうだろう!
静蘭: ありがとうございます。藍将軍は本当に良い方ですね。そうだ、お嬢様、せっかくですからこの大量のスイセン、そのまま藍将軍に差し上げましょう。実際問題この大量の花はなんとかしないといけませんし、日頃のお礼も兼ねて。
秀麗: ああ、それもいいわね。
静蘭: 藍将軍は律儀な方ですから、ひょっとしたらお礼にと、おいしい食材などをくださるかもしれません。でもどうぞ「お気遣いなく」と…主上、よろしくお伝えくださいね。
劉輝: うううむ…分かった。(楸瑛…すまぬ)


最近のアニメ版を見ているせいか、
どうにも静蘭が真っ黒くなってしまいます(苦笑)

2007.11.26脱稿