白粉花(おしろいばな)
秀麗：	あ、タンタン。ちょうどよかった。ちょっと来て。早く早く。
蘇芳：	えー何ー？
秀麗：	ねえ、このオシロイバナ、抜けない？
蘇芳：	無理だろ、こんなでっかいの。てか、なんで抜くの？まだ花、いっぱい咲いてんじゃん。
秀麗：	塀の壊れたところから外に飛び出しちゃってるでしょ？かわいそうだけど、歩く人の迷惑になるから…。
蘇芳：	だから塀、直したほうがいいって言っただろ。
秀麗：	雨漏りと違って切実じゃないから、つい後回しにしちゃうのよね。
蘇芳：	ここ、雨漏りもすんのかよ…。
静蘭：	お嬢様、鎌を持ってきました。
秀麗：	あ、ありがとう、静蘭。
静蘭：	おや、タンタン君。ちょうどよかった。
蘇芳：	手伝わないから。俺、通りかかっただけだから。
静蘭：	手伝うと何かいいことがあるかもしれませんよ。
蘇芳：	いいこと？
静蘭：	今日一日、平和に過ごせる、とか。
蘇芳：	や…やらせていただきます。
秀麗：	ありがとう、タンタン。お礼にそのオシロイバナ、持って帰っていいわよ。
蘇芳：	いらねー。
静蘭：	遠慮しなくていいんですよ
蘇芳：	いや、全っ然してないから。
秀麗：	金ぴかタヌキは即決で買ったのに。
蘇芳：	タヌキは関係ないだろ。
静蘭：	まあでも、あの無駄に派手な、どう見ても御利益とは無縁の金ぴかタヌキを、爪の先ほども迷わず買ったタンタン君には、確かにオシロイバナは似合わないかもしれませんね。
秀麗：	そうか、オシロイバナの花言葉は「小心」と「臆病」だものね。
蘇芳：	俺とタヌキの悪口たたみかけるの、やめてくれる？だいたい「臆病」なのはあんたの方だと思うけど？
静蘭：	私が？
蘇芳：	ばれたくない何か、隠してるっぽいっていうか。いかにもいい人ですって顔した奴にかぎって、「実は」って、正体とんでもなかったりするんだよな。
静蘭：	ほうう…。
蘇芳：	だいたいさあ、ありえないって。
秀麗：	何が？
蘇芳：	桃色草紙、隠してないっての。
秀麗：	は!?
蘇芳：	男としてはさ、やっぱり考えられないんだよね。スケベは男の一部なの。興味ないなんて事、ありえないの。それをさあ、そこのお嬢様に正体ばれて「男なんてサイテーよ！」とか、言われたくないからって一生懸命隠してんのってさ、「臆病」って言うんじゃねーの？それにさあ──
静蘭：	お嬢様。あそこの角に、ネギとカモしょったタヌキが。
秀麗：	え、どこ？
蘇芳：	ギャ………っ(タケノコを投げつけられて、転倒)
秀麗：	えっ、何!?………タンタン、どうしたの、地面に寝っ転がって？……って、なんでタケノコが転がってるの？
静蘭：	おや、本当に。時期はずれですが、食べられないことはないでしょう。せっかくですから、いただきましょうか。良い食材も届いたようですし、今日はごちそうですね。
秀麗：	良い食材？
劉輝：	秀麗〜！なんだ、楽しそうだな、余もまぜてほしいの…だ…って…せ、静蘭…？
静蘭：	では、私はこれから「タンタン君と」足りない食材を買いに行ってきます。ああ、お財布の心配はいりません。オシロイバナの方は、剣の達人にお願いしましょう。…はい。(鎌を渡す)
劉輝：	え…なんで、鎌？
静蘭：	それではお嬢様、いってきます。行きますよ、お財布その２…いえ、タンタン君。
蘇芳：	おおお鬼かあんたは〜っ！
秀麗：	(見送りながら)…静蘭、タンタンが来ると本当に楽しそうなのよね。
劉輝：	でもあの笑顔は、かなり真っ黒かったぞ。というか秀麗、余には何がどうしてどうなっているのか、さっぱり分からないのだが。
秀麗：	えーと……とりあえず、そこのオシロイバナ、切っちゃってくれる？
劉輝：	う…うむ、分かった。
あいかわらず、長〜い(汗) ゲストにタンタン役の勝杏里さんがいらっしゃるということで書きました。 タンタンと絡むと生き生きと真っ黒になる静蘭が大好きです^^ 2007.10.28脱稿 そして幸運にも、ご本人様方に演じていただけました。 声がつくとこんな感じvは、↓から。 第２９回２１分あたりからになります。